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補足解説とか書くよ

オルトくんファンソング「Sincerely_Me.exe」解説(?)&裏話まとめ

f:id:C_Voltage:20210821193540p:plain御アクセスありがとうございます!

 

このページはゲーム「ツイステッドワンダーランド」に登場するキャラクター、オルト・シュラウドくんに捧げるファンソング&MV「Sincerely_Me.exe」の裏話的なものをまとめた記事となっております。MVこれね↓

 

オルトくんの可愛さによって人生バグった人間による一年分の激重感情をご覧あれ。マジでかわいいよオルトくん。 

 

 

 最初に断っておきますと、「1ファンアートの詳細な構成を原作の具体的な部分から引用して紹介する」形式の記事となっておりますのでガンガンネタバレします
また、この作品と記事の制作当時は本編6章が未実装につき想像妄想個人の感想がふんだんに含まれております。ご了承ください。

 

解説

 全体的なテーマとか

 

作ったきっかけ

本作品の制作は、去年のオルトくんの生まれた日(あくまで誕生日ではない)に降ってきたワンフレーズから始まります。それがこのツイート。

このフレーズを拡張してフル尺の曲&MVに仕上げたものがこの記事で解説する本作です。

 

ではさっそく本題。

 

テーマ1:イデアの兄貴ありがとう

現時点で判明している情報に、オルトくんは兄のイデア・シュラウド氏によって造られたロボットのような子だというものがあります。公式サイト等に書かれているオルトくんのキャラクター説明には"イデア「弟」"ってわざわざ鉤括弧が付いてるのマジでこわい。

これを踏まえて、
オルトくんの誕生を祝う=製作者である兄への感謝を表する
ことなんじゃないかと思いました。これが作品テーマその1。
そのため、この楽曲の歌詞は全体を通して「オルトくんから兄へ宛てたメッセージ」という体で作成しております。

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↑↓イデア氏誕生日公開版(2020/12/18に限定公開した本楽曲wip)より

「オルトくんからのメッセージ」というテーマを全面に出して作成したイラスト。

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テーマ2:「今」を全力で全肯定

そしてテーマその2、「今」の肯定
これに関しては本編前ということもあり、本当に個人的な解釈になるのですが……このファンアートの核であるといっても過言ではないほど大事にしたテーマです。
先程、オルトくんは「兄のイデア氏によって造られた存在」であることを記述しましたが、それに加えて原作ストーリーの中には以下のようにとれる描写が存在します。

イデアにはもともと人間の弟がいたけど、何らかの事情でその弟はいなくなってしまった。
その寂しさ(かどうかはまだ不明)から、魔導工学の天才であるイデアは持てる技術の全てを使って機械の身体を持つ今の『弟』を作り出した。」

というもの。本当にいろんな可能性があるのですが、オルトくんが造られるうえでの根底に「いなくなった子」がいたとしたら、どうしても今のオルトくんは物悲しい存在になってしまいます。
そういった(おそらく)悲しい背景をもって造られたオルトくんですが、今読めるストーリーを見るかぎりこの子自身は非常に明るく素直に過ごしているように思えます。むしろ自分自身が人間とは違った身体であることもひっくるめて楽しんでいるんじゃないかとも思えてくるほどに。
だから、悲しい過去があったとしてもそれはそれとして、造り出された「今」のオルトくんが楽しく過ごせることはもっと尊重されるべき、というのがひとつ。

 

そして、ツイステのキャラクターには一人一人のアイコンとなるシンボルが割り当てられているのですが、オルトくんに割り当てられているのは「魂」
もしオルトくんの身体が禁術か何かで蘇った魂を原動力としていたら、禁忌に触れた存在であるとしてこの兄弟が糾弾されてしまったら、オルトくんがこの世界に居ちゃいけない子だと認められてしまったら……

そういった感じの展開が本当に恐ろしすぎて「今」の肯定というテーマに発展しました。本編実装前だからこそこのテーマに繋がったわけです。

 この「今」の兄弟の形が認められたら、少しでも幸せな方向に近づけるんじゃないか……というささやか(感情の重さは全然ささやかではない)な祈りを詰め込みまくっております。

 

余談だけど動画の感想ツイートを眺めてたらこの「『今』の肯定」に関して触れてくださってる方がいらっしゃって「伝わった!!!伝わった!!!!」って思わず両手上げて喜んだ。ありがとうございます。

 


 それでは、ここからは歌詞や映像についてとか原作からの引用内訳なんかをフレーズごとに書いていきますね。

 

フレーズ内訳

Aメロ │ 霧の底に眠る記憶を

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ここやサビ等でくるくる回っているリングは3Dモデル。Blenderで円柱を縮めてテクスチャ貼るだけなので簡単に作れます。

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眠りから目覚めるという流れで曲や物語や「オルト」の始まりを演出しました。
あと短時間での韻をここまで意識したのは曲中で多分ここだけ。

 

Bメロ・ブリッジ │ 知らないことひとつ数えては

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ここでは「ひとつ⇔膨大」の意味の対比や「潜り続けていく」という言葉を際立たせるために、

動きや奥行きが少なめ、画面そのものを意識させるウインドウフレームの演出

がっつり3D的カメラ移動で奥行きを出す、さっきのウインドウフレームを引き継いだのち左右反転させて「画面の向こう側」感を出す

という構成にしました。ギャップで引き出す没入感が伝わってたら嬉しいヨ。

f:id:C_Voltage:20210820222818j:plainf:id:C_Voltage:20210821211344g:plainこの演出がやりたかった。カメラの前を通過するウインドウがオルトくんの全身を隠すわずか数フレームの瞬間を狙ってギアをチェンジしていきます。

ちなみにこのウインドウが出てくるタイミングは後ろで流れてる「あ~あ~♪」というコーラスのリズムと合わせてます。この曲けっこうたくさんコーラス入れたからよく聴いてみてくれるとうれしい。f:id:C_Voltage:20210822123044p:plainボーカルパートの量はこのぐらい。一番上のトラックと右下の「idia」がメインボーカルであとは全部コーラス。

f:id:C_Voltage:20210820222827j:plain画像にもある通り「ぼくはわすれない」がこの曲で一番最初に思いついたフレーズだったのですが、フルバージョンを作る際に

またひとつ新しい知識に出会う

増えていく思い出を抱き締めたまま、さらにこの世界を深く知っていく

そうして得られた思い出や知識を、オルトくんはたくさん記憶しておける

「ぼくはわすれない」

という意味合いコンボが綺麗に決まったときはガッツポーズでした。

 

 

サビ1 │ 造られたこの身体が還る日まで

f:id:C_Voltage:20210821193513p:plainf:id:C_Voltage:20210820222836j:plainテーマにも記述した「オルトからイデアに宛てたメッセージ」というニュアンスを一番大事にした箇所です。

そして、ここから後ろで流れはじめるシンセパートはイグニハイド寮BGMのメロディを元に作成したものとなっております。こういうこと↓


イグニハイド寮BGMの音運びほんとすごい。特にこの部分は次に来る音が予想できないメロディラインなのにカッコイイ音楽として成立してるの一体どうなってるの??

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オルトくんの良さを超絶引き出している声優の蒼井翔太さん本当にすごい。オルトくんが喋ってるとこ全部にしっかり者感とかわいさが見事存在しててマジですごい。 

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君の手→僕の鼓動へ灯火を持っていくために位置調整をがんばりました。

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「叶いますように」は歌詞と音運びがピッタリはまったので個人的に気に入ってます。星イベ大好きなので特に。

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イデア氏が記憶に呑まれる

オルトくんが手を差し伸べる

気が付いたら星送りの日にトレイさんとデュース君と立っていた

というシーン。ここカメラ走らせるだけで6回は映像ソフト処理落ちしました。
周りにたくさんある星は3Dモデルの代わりに画像を配置して軽量化を図ったりしたけどやっぱりそれなりに重かったみたいですね。

f:id:C_Voltage:20210821232908p:plainこりゃソフト落ちるわ。

 

間奏

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間奏で流れるメロディは、イグニハイドの元ネタである映画「ヘラクレス」主題歌「Go the Distance」のフレーズを元に作成しております。こういうこと↓

 

Cメロ │ 人の智を超えた出逢いだとしても

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ツイステのプレイ画面というのはこれ。ビックリ演出でもあるけど、込めたメッセージは一番強いです。

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そしてザーーーー。

これから過去のデータが流れることを知らせる画面です。
上から順に
「SYSTEM NOTIFICATION: MEMORY」 ≒ システム通知: 記憶領域
「FOUND LOG FILE.」 ≒ ログファイルが見つかりました。
「AUTO MODE: DISABLED」 ≒ オートモード: オフ
と書いています。(実際に英語で表記したらこれで正しいのかはわからないけど)
ログファイルというのはコンピュータがこれまでに行ってきた動作や処理の履歴だったりその中で取得したデータの履歴だったり……ざっと言えばいろんな履歴データのことです。たぶん。

 

落ちサビ │ 壊された記憶を繋ぎ合わせたら

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「その声が~」で動いてる波形はオルトくんの声から生成されてるもの。
実はここでオルトくんの声をうっすら鳴らしています
イデア氏がオルトくんを造っている最中をイメージしたパートなので、鳴っているオルトくんの声はベタ打ち(声の強弱や音程の揺らぎなど歌の感情表現ととれる効果を一切入れていない状態)のデータを使用しています。

 

ラスサビ

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ここは一番と同じ。

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「どんな過去だったとしても、それによって今の2人がある」
という「『今』の肯定」テーマを一番色濃く表したフレーズです。
この瞬間で一気に感情を爆発させるトリガーにするため、ここに至るまで「モリー」という言葉の使用を避けてきました。

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実はこの部分は2020年版から歌詞を変更しています。散歩の途中で思いついた変更なのですが、「ストーリー」「メモリー」という「リー」で締める2つの言葉が綺麗に連鎖するこのフレーズを思いついたときは丁度通りかかっていた公園の周りをしばらく走り回るぐらいテンションが上がりました。ヒャッホーーーー!!

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これまでの映像を後ろに置いて「過去」を演出したり。
そしてここからの演出で「メモリー」という言葉をさらに際立たせます。

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各パーソナルエピソード要素の盛り込み。これがやりたかった。
メッセージ文体の歌詞というのもあり、文章として成立する歌詞にしようと組み合わせをかなり慎重に考えました。結果的にR→SRの順番になってちょうどよかったです。

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ついでに映像が2020版→2021版でグルーヴィーしてます。Rカードであるアスレチックギアのポーズ・アングルがあまり変わってないのがポイント。
今気付いたけど3枚ともそれぞれの意味合いで手を前に出したポーズしてますね。

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「兄さん」と書いて「創造主」と読む。シュラウド兄弟の関係性をここに集約させました。


文頭に付いてる「>」は、プログラムへの指示を打ち込むコンソール画面などでよく表示されてるものです。>の後にコマンドを打ち込むとそれに応じた処理をプログラムが実行してくれます。
その処理を実行してくれるプログラムのことを「実行ファイル」と呼んだりするのですが、そのファイルの拡張子はだいたい「.exe」であることが多いですね。
(ここはプログラミング初歩の初歩を少~しだけ触った素人が書く文章なので違和感あっても大目に見て)

そしてもうひとつ、「親愛なる○○へ」というのは手紙などの書き出しで使われる文です。同じく手紙などの締めくくりに使われるフレーズで、英語圏には「Sincerely,」という言葉があります。この言葉の後に差出人を書いて締めくくります

そんでもってこの楽曲のタイトルは「Sincerely_Me.exe」。ラスト一文でタイトル回収を行う構成となりました。

 

また、一曲をループで聴く際の聴き心地やギミックなんかを楽曲を作りながら少し考えたりするのですが、最後まで聴いたときに初めて「親愛なる~」という手紙文の書き出しが現れ、そのままもう一回楽曲を再生する際に「この曲は手紙のような体裁で描かれたものなのだろうか」といった意識で聴くことができたりするのかな……?そうだったらいいなと思いながら作業してました。

 


その他細かいこと

ロゴ

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このロゴ……というか、制作時間のほとんどを音楽に割いたので映像関係は友人の夜狐氏に事前に描いていただいてた青いウインドウの素材と絵コンテとモデリング以外は2週間で行いました。超突貫。このロゴは投稿2,3日前辺りに作った気がします。

「e」がちょっと斜めってるのが特徴です。これはオルトくんの肩とか脚のジョイント部分にあるマイナスネジ型のパーツを意識しました。(作画コストの影響で動画内イラストではだいぶ省略してるけど)
MV内間奏でこのロゴが映る時「e」がちょっと回転します。

 

制作期間

2020年の8月14日から一日欠かさずこの作品についての作業をやってたってわけではありませんが、ほぼ一年間この作品について考えていました。先程にも書いた通りほとんどの時間(全部で半年ぐらい)を楽曲に割いてきたわけですが、作詞や作曲に煮詰まってたというわけではなくとにかくミックスで大迷走しました。具体的な例を出すと、

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↑これだいたい全部書き出した音源。どうしてここまでの量になったのかはわからないけど書き出しては聴いて調整してをこんだけ繰り返しました。最終的に音作りに関する理解が少しだけ深まったので良し。

 

楽曲のリファレンス

音楽とかでいうリファレンスってのは簡単に言うと「参考にした作品」のことです。楽曲の雰囲気とかミックスの質感などの目標にした作品ですね。そしてこの楽曲のリファレンスはこちら。

Porter Robinson氏によるSad Machine。2:14周辺「I don't know much about your life beyond these walls~」のベースラインとかかなりサビで参考にしてます。

 この曲をはじめこの方の楽曲は好きでよく聴いてます。

こちらのアルバム「Nurture」とか聴きながらMV作業してました。全体を通して壮大かつ穏やかでいてどこか無機質な自然の雰囲気が味わえるサウンド。良きですぞ。

 


まとめ

 以上が、オルトくんに捧ぐファンソング&MV「Sincerely_Me.exe」に関するアレコレでした。
いよいよ告知も出た通り、これから始まる本編6章でついにオルトくんとイデア氏の抱えた事情が明かされていくはずです。果たしてどういった方向性で来るんでしょうね……。
どんな展開が待ち受けていたとしても、最後にはあの兄弟の存在が肯定されることを祈るばかりです。どうか幸せになって。マジで。頼む。
そういった祈りを全てつぎ込んでこの曲ができたようなものなので、こうして6章前に公開することができて満足です。

本当に全てつぎ込んだので本編更新までは「オルトくんは大変かわいい」「オルトくんの太ももは硬い素材で作られているはずなのにベルトの食い込み等柔らかそうに見える趣向が凝らされているおかげで日々変な扉が開きつつある」ばかりツイッターで呟く未来が見える←いつものこと

 ここまでお読みいただきありがとうございました!
初めてブログを作成したので見苦しい点などあったかもしれませんが、少しでもお楽しみいただけたら幸いです。


今のあなたとあなたが見る世界に幸あれ!

 

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(@C_Voltage) | Twitter